ゲイカップル、犬と暮らす

ゲイカップルと柴犬の小太郎との暮らし

年上の男

 

東京で暮らし始めた頃、知り合いがほとんどいなかった。東京にいたゲイの友達は一人だけ。

そんな頃に知り合った男の人がいる。今でもたまに思い出す人です。イケメンって訳では無く普通な感じの人。年上リーマン。スーツ姿は写真でしか見たことないけどね。

 

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彼氏の浮気

当時の彼氏を地元に残したまま東京にやってきた。浮気癖が凄い彼氏。ちょっと疲れてしまってた。

その彼は俺が東京に来たあとも、たまに来ていたし関係は良かったのかな。でも東京に来たついでに浮気してたり。

それは無いやろと思ってた。そして地元でも浮気していた。

やるならバレないようにしてほしかったけど、すぐバレる奴。俺と一緒にいる時に浮気相手から電話掛かってきたりしてた。着信画面は前に浮気した奴だったり。げっそりしてくる俺。ケンカするのもしんどい。

寂しいからだの何だの言われる。あっそ。ごめんね、寂しい思いさせて。

そんな頃、俺は一人の男の人に出会います。

 

出会い

地元のゲイの友達ってか知り合いに紹介された人。東京で暇なんやろ?友達紹介したる。そんな感じ。

俺のメールアドレスを伝えてくれて、Tさんという男の人から連絡がくるようになった。年齢は十歳上だった気がする。

俺は彼氏がいること、遠距離になったこと、そんな他愛の無いやり取り。

ある日、仕事後にご飯に行く約束をしてたんだけど、ドタキャンされる。連絡が来たのが約束の時間の数時間後。急遽出張になって、戻ってきたのがその時間だとか。仕事なんだし仕方ない。

 

初リアル

初めて会ったのは新宿駅の前。そこで待ち合わせをした。どこに行ったかは覚えてない。その日に動物園に行ったのかも。

レッサーパンダの風太くんの話題が下火になっていた頃。その動物園に行ったと思う。ずっと風太くんが気になっていたけど忙しくて見に来れなかったらしい。

覚えているのは晩ご飯。寿司屋さん。俺が寿司が好きだから連れて行ってくれた。

その時、彼氏にもらったネックレスをしてたんだけど、首からチェーンが見えてた。

アクセサリーの話になり、彼氏にもらったことを伝えた。

 

俺のものになる

向こうは酔っ払ってたんかな。他のお客さんがほとんどいなくなるまで、話をしていた。

 

「そのアクセサリー外せ」

 

真顔で言われ、少し怖かった。

 

「何でですか?良いじゃないですか」

 

作り笑顔で言い返す。だけどまだ真顔。そして目が座ってる。

 

「彼氏にもらった物だろ。俺と二人なんだから外せ。お前はそのうち俺のものになるから」

 

大丈夫?頭沸いてるんちゃうん?ぽかーんとする俺。

 

「えっ?それはないですよ」

「絶対そうなる」

 

この後のことは覚えていない。ちょっと強引だなと感じた俺。初リアルの後は自分から連絡をしなかった。

 

 

 

 

彼氏との別れ

Tさんから連絡が来ることがあるけど会わなかった。その後は彼氏と普通な感じ。ケンカすることもなく普通に過ごしてた。

ある日、彼氏から電話が来た。

その時に伝えられたこと、本当に許せなかったこと。この人とやって行くことが無理と感じた。

俺から別れようと伝えた。そして泣かれた。

 

花火

彼氏と別れた後、Tさんから連絡が来た。遊びに行こうと言われる。

暑い夏の日、この日も何をしたか覚えてないけど、夜は隅田川の花火大会に行った。屋形船に乗り日本酒を飲む。花火が綺麗だったことを覚えています。

そして駅でバイバイ。Tさんが改札まで送ってくれる。帰宅してメールを確認すると振り返らずに歩いていったことを指摘されてた。

 

上から物を言う

Tさんと毎日メールをするようになり、電話もするようになる。だんだんと惹かれていっているのが自分でも分かった。

ある日、仕事が終わったあとメールをする。いつものように軽い感じで送った。

 

『仕事終わったよー』

 

『目上の者には“お疲れ様です”だろ!社会人なんだから考えろ!』

 

何故か怒っている。すぐに謝罪のメールを送る。

 

『分かったならそれで良い。気をつけろよ』

 

返信も上から。会っても上から物を言うようになってきてる。そして上司でもないのに怒られたことが今でも謎です。

 

他の男には会うな

Tさんとは休みが合えば一緒に出かけていた。しかし付き合っている訳では無い。だから俺はフリー。他の男と何があっても誰にも咎められない。

しかしTさんが俺の行動に釘を刺す。

 

「俺以外の男に会うなよ」

「なんで?俺たち付き合ってないじゃん」

「前に言っただろ。お前は俺のものになるって」

 

そうかも知れない。きっと俺はTさんのものになる。好きだという気持ちが大きくなってきている。いつも上から物をいうような男の人だけど、何故かそこにも惹かれている。

 

釣った魚に餌をやらない

付き合っている訳では無い。だから恋人同士がすることは何も無い。ただデートをして、その後に駅で別れる。

だんだん悶々としてくる。俺って何だろう?Tさんには行動を制限される。

 

「俺って彼氏じゃないじゃん?何なの?」

「いきなり何?」

 

質問に答えてくれない。

 

「Tさんってホント釣った魚に餌を与えないよね」

 

俺の言葉で笑ってる。そうかもと言ってるTさん。俺は真剣なのにな。

俺はキープされているのかな?少し寂しく思った。

 

終わる関係

あの日、仕事が休みのだったので昼寝をしていた。

ケータイの着信音で目を覚ます。Tさんからだった。

 

「お前、何度もメールをしてんのに何してたんだ!」

「ごめん、寝てた」

「は?俺はお前と違って忙しい。いい加減にしろ!」

 

そこで頭の中で何かが切れた。

 

「何なん?昼寝してただけやん!何でそんなこと言われなアカンねん!そっちこそええ加減にせぇや!」

 

その頃は基本的に標準語を話すようになっていた。怒りからかTさんに対して方言が出た。イライラした俺は電話を切った。そして寝ている間に届いていたメールを確認した。

その時期、一緒に温泉に行こうと話していた。その予定だったり、宿の候補が書いてあった。

しばらくするとTさんからメールが来た。

 

『反省しているのか?』

 

それだけが書いてある。意味わかんなくて返事をしなかった。その後、数日は電話が掛かってきたけど出なかった。そして連絡が来なくなった。

 

その後のこと

その数か月後、Tさんのことを忘れたように他の人のことが好きになった。クリスマスの日、Tさんからクリスマスツリーが添付されたメールが届いた。

 

『メリークリスマス。元気にしてるのか?』

『元気にしています』

 

そう返事をし、その日で完全に連絡が途切れた。

数年後、地元に帰った俺。Tさんを紹介してくれた人に話を聞いた。

あの後、Tさんは自分勝手だと反省していたらしい。そしてクリスマスの日にメールをしたんだけど、俺の返事が冷たかったとか。後の祭りですね。そしてTさんは遠距離で年下と付き合っているとか。

あんなに好きだったのに冷めるのが早かった。自分でも無理してたのかな?頼れる男だと思っていたのにな。年上は好きだけど、自分勝手なのは疲れる。もう少し俺とのこと、接し方を考えてほしかった。

もうTさんも五十歳前か。良い男になっているかな?

 

そんな感じ☆

 

 

 

 

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